我が家から自転車で約30分のところに東松山駅前の「大正堂写真」さんがあります。

 

中古品の在庫は豊富なのですが、距離がネックになって最近はあまり訪れていませんでしたが、今日は大学が早く終わったので行ってみることにしました。

 

そこで見つけたのがこちら。

 

Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F3.5_001

Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F3.5です!

 

外観はかなり使い込まれているようで、塗装が剥げ気味でした。レンズは後玉群にカビの繁殖が見られますが、そこまでひどくなく、キズ等はありませんでした。

 

絞りリングは少し重たいですが、油を差せば何とかなりそうです。

 

これで価格は1000円と来たものですから、これ幸いと購入しました。

 

(え?今月はもうレンズを買わないって言ったじゃないかって?…まあいいじゃないですか。)

 

そんな訳で、家に帰ってすぐに分解清掃です。

 

 

まずは外観のチェック。

 

後玉は暗いレンズということでかなりコンパクトにまとまっています。

 

Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F3.5_002

 

絞り羽は5枚。

 

Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F3.5_003

 

同じ焦点距離の「Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F2」と比較すると、このレンズのコンパクトさがわかります。これぞPENTAXの醍醐味といったところでしょうか。

 

Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F3.5_004

Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F3.5_005

 

Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F3.5_006

 

さて、本題の分解清掃に入っていきましょう。

 

まずはいつも通り前の銘板を外します。

 

100均の椅子足カバーでも開けられますが、何度も使うのであれば、パナソニック電工製のゴム付き防水型ソケット(500円~800円。ホームセンターの電気配線売り場にて購入)を使うと持ちやすくて良いと思います。

 

銘板を外したら、その下から現れる3つのネジを外してフレームを取ります。

 

Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F3.5_007

 

ここでレンズ群を外すか、ヘリコイドを外すか選択できるのですが、レンズ以外のところも汚れが目立っているので、今回はまずヘリコイドを外すために、3つのネジを外していきます。

 

Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F3.5_008

 

ちなみに、この3つのネジは位置は距離計の位置と対応しているので、あらかじめ無限遠(∞)にヘリコイドを合わせた上で外し、ヘリコイドを取った後は元に戻せるように印をつけておきます。

 

こうしておかないと、組み立てたときに実際の焦点距離と表示されている焦点距離が合わなくなってしまいます。

 

逆に言えば、ピントを調節するときはここを回して調節することになります。

 

Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F3.5_010

 

印を付けたら、次に絞りの範囲を確認できるリングと絞りリングをそれぞれ外していきます。

 

前者のリングは側面にある小さなマイナスネジ(イモネジ)3つで固定されています。

 

これらのネジは、リングを固定しているだけなので、「緩める」だけでリングは外れます

 

(外す必要はありません。外すと紛失する可能性があるので、極力外さない方が良いと思います。)

 

Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F3.5_011

 

それが取れれば、後は絞りリングを上に引き上げれば、取ることができます。

 

この時には、絞りを開放にしておくと、あとで戻しやすいでしょう。

 

で、ここで注意したいのが小さなボールです。これで絞りリングの「カチッカチッ」という感触を実現しているのですが、これまた紛失しやすいので、落ちないように注意してください。

 

Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F3.5_012

 

これでかなりの部分を清掃できるので、綿棒を使って丁寧に拭きました。

 

 

この清掃が終わったら、一度組み立てなおして、今度はレンズを分解していきます。

 

前玉群は先ほどのカニ目を反時計回りに回すことで取れますが、回す前には無水エタノール等を溝にしみこませて接着剤を溶かしてからにした方が良いでしょう。

 

後玉群のほうは少々厄介です。

 

まず、後ろから見て一番外側のカニ目を外します(反時計回り)。

 

Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F3.5_013

 

その下からは、またもカニ目が出てきます。そしてこれこそが後玉群を押さえているカニ目なのです。

 

と言う訳でこちらも外してしまいます。

 

Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F3.5_014

 

そして取り出した図がこちら。

 

一番内側のカニ目は一番後ろのレンズを押さえているものですが、その外側のカニ目は外れるものがありませんので、無理に回そうとしても全く回らないどころか、手やレンズにキズを付けてしまうので手を付けない方が無難です。

 

Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F3.5_015

 

後はいつも通り台所用洗剤でカビを除去し、無水アルコールで綺麗に拭けば作業完了です。

 

指紋が付かないように気を付けて元に戻せば…、また一つ実用レンズが増えました。

 

「Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F2」と比べて、アトムレンズや経年劣化によるレンズ焼けがほとんどないので、フィルムで使う機会が多くなりそうです。

 

Super-Multi-Coated TAKUMAR 35mm F3.5_016