Category: Super-Multi-Coated TAKUMAR 28mm F3.5


我が家にやってきたラッキーボーイ「Super-Multi-Coated TAKUMAR 28mm F3.5」。

 

彼はコンパクトなタイプですが、同じスペックの28mm F3.5には前玉が大きい前期型のファットタイプも存在します。

 

その二つを並べると、PENTAXのコンパクト化への情熱やら熱意やら努力やらが見えてくるようです。

 

ちなみに、今回はSuper-TakumarとSuper-Multi-Coated TAKUMARの比較なのですが、このレンズがファットタイプからコンパクト化されたのはSuper-Takumar時代なので、Super-Takumar 28mm F3.5が2タイプあることになります。

 

 

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まずは正面から一枚。これだけでも十分な違いが判ると思います。前期型ファットタイプ(左:以下「前期型」)はフィルター径が58mmであるのに対して、後期型コンパクトタイプ(右:以下「後期型」)は49mmと0.9cmも小型化に成功しています。

 

レンズコーティングも一目瞭然で、Super-Takumarの黄色いモノコートからSuper-Multi-Coated TAKUMARの緑色多層コーティングにすることで逆光性能を向上させているのです。

 

 

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次は側面。数字が丸文字からゴシック体へ変化していることが確認できると思います。

 

最短焦点距離は変わらず、0.4mで他の数値もほとんど同じですが、無限遠の一歩手前に書いてある距離が前期型の7.5mに対して後期型は7mになっています。その上のフィート表示ではどちらも20ftとなっていることを考えると、単にスペースを省略するために表示を変更しただけなのでしょう。第一、広角レンズで7mと7.5mの違いなど皆無に近いでしょうから実用で困ることはありません。

 

ただ、最大の絞り値が22(前期型)から16(後期型)へとスペックダウン(?)しているのはどうしてでしょうか。

 

 

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続いておしりのマウント部です。正面とはまた違った印象で、レンズの色が前期型(左)は薄青紫になっています。

 

レンズの大きさはあまり変わらないようです。

 

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絞り羽の数は前期型(上)後期型(下)共に変わりませんが、素材が違うようで前期型の方が頑丈そうです。

 

 

まあ、こんな感じで比較をしてきた訳ですが個人的には後期型のコンパクトさにびっくりしました。

 

これなら手軽に持っていきやすいですね。後は実写の結果が楽しみです。

 

 

2012.2.19 追記:

「Super-Multi-Coated TAKUMAR 28mm F3.5」の作例が出来上がりました!

 

015_SMCT28mm,F11,1-250(2012.2.17.1332)

↑「PENTAX SP」+「Super-Multi-Coated TAKUMAR 28mm F3.5」+「Kodak GOLD 100」

F11, 1/250秒

 

 

条件は、昼過ぎ(13:30頃)の河原で、太陽を背にした順光です。PLフィルターは付けていませんが、なかなかコントラストが高めで青い空が良く表現されています。

 

周辺部も像の流れが少なく、全体的にしっかりした印象です。

 

また、このレンズの小ささ・持ち運びやすさが意外と便利で、荷物の重量軽減に貢献しています。

ジャンク市場には、ほとんど使用感の無いままで手放された個体が流れてくることがあります。

 

もちろん、ジャンクなので何らかの問題があるのですが…、綺麗なものは総じて分解歴が少なく、見えないところにキズが付いている等の心配がありません。

 

まあ、裏を返せば初めて分解するのが私になる可能性があるので下手にキズを付けられない面もあるのですが、そこについては考えない方向で(苦笑)。

 

そんな訳で久しぶりに分解なんぞしてみようと、新宿の中古カメラ市場にて「Super-Multi-Coated TAKUMAR 28mm F3.5」(フロント&リアキャップ付き)のジャンク品(美品)を2000円で調達してきました。

 

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28mmのTAKUMARレンズにはモノコート時代の「Super-TAKUMAR」に存在した初期型のファットタイプと後から出たコンパクトタイプが存在しますが、今回の品はコンパクトタイプに当たります。

 

詳しくは別記事で紹介しますが、初期型のずんぐりむっくりした形と比べるとこのレンズのコンパクトさがより際立っています。

 

PENTAXが目指したコンパクト化への志向がわかる一品です。

 

 

ではこの個体、どこがジャンクなのかと言うと「絞りが開放から変化しない」所になります。

 

写真用レンズにとって絞りが変化しない(絞られない)のは、レンズ特有の諸収差がそのまま出てしまうことにほかならず、画質の低下をもたらすので、例え外観が美品であってもそれは立派なジャンク要因となりえるのです。

 

 

 

大抵絞りが動かないレンズは、ヘリコイド等レンズの可動部に塗られたグリースが年月を経て絞り羽に付着し、羽の動きを阻害しているか、これまたグリースが絞りを連動させる機構の中で固着してしまった、という辺りが考えられますが、まずはその絞りリングの動きがどのように絞り羽まで伝わっているのか動きを確認する必要があります。

 

 

そこでそこの構造を見るためにレンズを押さえているネジ(カニ目)を取ったところ…。

 

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直ってしまいました(笑)。

 

 

とてもラッキーなことですが、どうもレンズ群を押さえるネジが強く締められていたことが原因で絞りがうまく動作できなかったようです。

 

ネジを(ほどほどに)締め直しても、まるで先ほどの不調が嘘のように絞り羽が快調に作動しています。

 

レンズに手を付けることなく直ったのは良いことですが、こちらとしてはレンズを分解する気満々だったので、いささか拍子抜けしてしまいました。

 

こんなこともあるんですね。

 

なんにせよ、2000円でほぼ完動品のレンズを手に入れられたのは儲けものです。